もう12年の付き合いになるだろうか。
告白もしていないのに付き合う事になった。
それまで、自分とはまったく疎遠な存在だと思っていた。
苦しんでいる人は大変だなあと。
しかしヤツは、あ、ウツは、陰からじーっとボクの事を見ていたらしい。
後から聞いた話だけども。
そんな事も知らずに、人生を全速力で駆け抜けていたボク。
でも、ウツはボクに目を付けていた。
お友達になりたいわ、と。
ウツと初めて顔を合わせた時の事を忘れない。
とんでもないヤツが現れたぞ、と。
しかも友達申請してきてるし。
「拒否」のボタンないし。
その日から、ボクはウツと友達になった。
一緒にいると、もう辛くて辛くて。
身体はダルいし、
気持ちは晴れないし、
寝れないし、
まあもう世の中のネガティブをすべて自分が背負った気分なのだ。
初日で友達をやめたくなった。
なんども手を振りほどいたけど、諦めずにぎゅっと握ってくる。
もうカンベンしてくれよ…。
ボクの目標、夢、人生はウツに全部食べられてしまった。
でも、でもだ。
月日が流れるにつれて、ウツの以外な側面が見えてきた。
それまで人生を駆け抜けていたボクは、
道端に咲く一輪の花にさえ気付くことができなかった。
なぜなら走っていたから。
でも、トボトボ、トコトコ、ウツと手を繋いで歩いていると、
今まで見過ごしていた綺麗な風景が目に入るようになってきた。
「おっ、こんな所にこんな可愛らしい花が咲いてたのか」
ボクの生き方が少し変わり始めた瞬間だった。
人生における「豊かさ」は十人十色、人それぞれ。
正解はないと思う。
ウツは、ボクにボクなりの「豊かさ」をゆっくり、じっくり、教えてくれた。
そして今も、明日も明後日も、この先ずーっとそうだろう。
一刻も早くサヨナラしたい存在だが、ずっと側にいてほしい。
悩ましい、不思議なヤツ。
あ、不思議なウツ。
今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。
きっと、みんなそれぞれ色んな「友達」がいる。
あなたには、どんな友達がいますか?