ツマとムスメとウツボク

いきるってたいへん。でも、すばらしい。

あなたへ

お元気でしょうか?

また、あなたにお手紙を書きたくなり、筆をとりました。

 

もしかしたら、今日の手紙は、あまりに赤裸々すぎて、

聞き苦しい、読み苦しい部分が多々あるかもしれません。

 

もし不快な思いをさせてしまったらごめんなさい。

そっと、くずかごに捨ててください。

 

いきなりですが、

あなたは、「自分の価値」について考えたことがありますか?

ちょっと重たい質問かもしれませんね。

 

たぶん、考えたことがあるのではないでしょうか。

もちろん、ボクはあります。

 

よくよく、考えることがあります。

 

物と違って、「人」に「価値」なんてつけられるわけがないし、

絶対につけるべきではないとボクは考えています。

 

でも、でもです。

 

そんなことは頭で理解していても、

ときどき、「自分の価値」に疑問を持ってしまうことがあります。

 

自分のことは、自分で認めてあげているつもりなのに、

たまに、とっても苦しくなるときがあるのです。

 

「自分には価値があるだろうか」

 

もしかしたら、

あなたもそんな気持ちになったことがあるかもしれません。

 

今この瞬間も、そんな気持ちで押し潰されそうになりながら、

そっと、そっと、生きている人は、決して少なくないだろう。

ボクはそう思っています。

 

それは、

その人の生い立ちであったり、

生まれ育った環境であったり、

今、置かれている環境だったり、

難しい人間関係の中に身を置いていたり、

親や家族との関係が複雑で難しかったり、

学校や友達の中に馴染めなかったり、

仕事がどうしても上手くいかなかったり、

または、今の「時代」がそう思わせているかもしれません。

 

自信を失い、しぼみそうになりながら、

「どうせ自分なんて…」

と、深い、深い、ため息が出るのです。

 

なんか、冒頭から重苦しくさせてしまい、ごめんなさいね。

 

実は、昨夜、ボクはまさにそんな心境だったのです。

別に何か嫌なことや、ショックな出来事があったわけではありません。

 

ただなんとなく、なんとなく、

「自分の価値」について考えてしまったのです。

 

昨日は、そんな日、そんな夜でした。

 

人生が川のように流れていて、

色んな事が自分の思い通りに進んでいる時はいいのです。

 

でも、現実にそんな日々を送っている人は本当に少数な気がします。

いや、いないんじゃないかな。

 

みんな、それぞれに苦労や悩みを抱えながら、毎日を生きているでしょう。

 

ボクもそのうちのひとりで、

 

ここ数か月、心身のエネルギーが失われ、何もやる気が起きず、

ただ、毎日が過ぎていくのを見つめています。

 

こんな生活には、もう慣れてしまったのですが、

やっぱり、どうしても辛くなる時があるのです。

 

朝起きて、作ってもらった食事を食べ、

横になり、暗くなったらまた眠る。

 

毎日、家事に育児に一生懸命なツマ。

家にいながらも、ほとんど手伝いも出来ず、ただ横になる。

 

「いっしょにあそぼう」と声をかけてくれるムスメ。

そんな可愛らしいお願いにも、満足に付き合ってあげられない。

 

全身で愛情表現をしてくるコムスメ。

抱っこすらしてあげられない日もある。

 

仕方ないと分かっているけど、

誰もボクを責める人はいないけれど、

 

ときどき、そんな生産性のない自分が、

情けない、不甲斐ない、価値がないと思えてしまうのです。

 

昨夜は、なんだかそんな思いが心から溢れ出そうでした。

 

今から綴ることは、

もしかしたら、そう聞こえてしまうかもしれないけれど、

決して、自分のツマを自慢するわけではなく、

自分が善い夫であるということを誇示したいわけでもありません。

 

ただ、昨夜、ツマからかけてもらった言葉が、

かつてない程、ボクを勇気づけ、生きる力を与えてくれたので、

どうしても、あなたに聞いてほしいのです。

 

昨夜、ツマは、うなだれて横になっているボクの側に寄り添い、

手を握りながら、こんな言葉をかけてくれました。

 

『私の話にいつも耳を傾けて、うんうんと話を聞いてくれて、

 私が疲れてないかいつも心配してくれて、

 私が不安に思っていることはないかいつも気にかけてくれて、

 作ったごはんに文句ひとつ言わず、いつも美味しい美味しいって言って食べてくれて、

 一番近しい人をこんなに大事に出来る人って、どれだけいるの?

 これ以上に大事な仕事ってあるの?

 あなたが毎日している事は、本当に尊いことなんだよ。

 こどもたちにも、ちゃーんと伝わってるよ。

 だから、今まで通り、あなたが大切だと思うことを大切にして生きて。』

 

ボクは返す言葉が見つからず、

ただただ、流れてくる涙と鼻水をおさえることしか出来ませんでした。

 

もしあなたが、

「わたしって、価値があるのでしょうか?」

と、ボクに尋ねてくれたら、

 

ボクは、ゆっくり、そして、しっかりと、

こうお返事します。

 

『はい、あなたには価値があります。

たとえ、学校に行けなくても、

たとえ、仕事に行けなくても、

たとえ、人と上手く付き合えなくても、

たとえ、何かをうみだせなくても、

たとえ、誰の役にも立ってないとしても、

たとえ、なんにもできない自分でも、

たとえ、あなたが自分のことを価値がないと言っても、

あなたには、価値があります。

あなたは、生きているだけで、本当に価値があるんです。

それだけでいいんです。

それが、いいんです。

だから、どうか、あなたらしくいてください。

そのままのあなたでいてください。』

 

わあ、今日はこんなに長いお手紙になってしまいましたね。

ごめんなさい。

 

でも、最後まで読んでくれてありがとうございます。

 

聞き苦しかったかもしれないけど、

読んでもらえて、とても嬉しいです。

 

毎日、いろんな事があり、いろんな気持ちになりますが、

あなたの日々が、少しでも平穏でしあわせでありますように。

 

また、お手紙書きますね。

 

いつもありがとう。

 

令和元年11月1日

心を込めて、ボクからあなたへ