ツマとムスメとウツボク

いきるってたいへん。でも、すばらしい。

オシゴットとボク

オシゴットとは、

ムスメがたまに歌い出す、

 

「ぶんぶんぶん、おしごっと~♪」

「ぶんぶんぶん、おしごっと~♪」

 

という、謎の歌のワンフレーズである。

ただそれだけです、はい。

 

今日はシゴトの話。

 

ウツと友達になって一番影響を受けたのは、

やはり、シゴトかもしれない。

 

今日に至るまで、

何度も休職と復職を繰り返した。

 

職場の方々には迷惑をかけ続けたが、

休職と復職の繰り返しは、正直かなりキツかった。

 

シゴトは好きだし、

人と関わることや、

働くこと自体も好きだ。

 

だが、

残念ながら、なかなか続かない。

 

どうしても体調が安定せずに、

欠勤してしまう日が出てくる。

 

それがそのまま長く続くと、

ヌルリと休職に入っていくのだ。

 

いくら誠実に、まじめにシゴトをしても、

シゴトに来ることが出来なければ、

同僚も上司も、ボクを信頼することは難しい。

 

ボクという人間自体は好きでいてくれても、

「社員」としては、どうしても評価出来ないのである。

当たり前のことだ。

 

それでもボクは働く仲間に恵まれたと思っている。

もちろん、関係が難しかった人もいたが、

心ある人たちも多かった。

 

特に、上司に恵まれたと思う。

今でもボクの事を見守り、心にかけてくれる、

愛情深い恩師もいる。

 

ボクにとって大切な存在である。

 

それだけに、

シゴトを続けられない悔しさは大きかった。

もっと一緒に長くシゴトをしたい人達がいた。

 

そういう時は、本当にウツが憎くなってしまう。

 

「おまえさえいなければ…」

 

周りと違う生活を送る事は、

常に不安と孤独、

そして、

見通しのない恐怖と向き合う事だ。

 

今現在のボクはというと、

以前の仕事を今年の3月で退職し、

4月に定年退職した父が、息つく間もなく起業をしたので、

一緒にシゴトをさせてもらっている。

 

幸い、父はボクの体調について深い理解を示してくれているので、

なんとか働くことが出来ている。

 

でも、体調が崩れると、やはりシゴトに行けなくなる。

今、まさにそんな状態で、

6月頃からずっとシゴトに行けていない。

 

なので、自宅で出来るシゴトを任せてもらい、

それをボチボチとやらせてもらっている。

 

なかなか、自分の思うようにはいかないものだ。

 

無精ひげにパジャマ姿で、朝、ゴミを捨てに行くと、

バリっとしたスーツ姿で、颯爽と駅に向かうサラリーマン達に出くわす。

 

なんともいえない、虚しい気持ちになるのだ。

そんな事、思う必要はないのだが。

 

自然とそんな気持ちになってしまう。

 

トボトボと団地の階段を登り、

家に入ると、ムスメが青っ鼻を垂らしながら、

 

「ぱぱあ、げんきー?」

 

きみいつもげんきだね。

 

そんなボクが存在しているにも関わらず、

我が家の中は本当に明るい。

 

これは、ひとえにツマのおかげだ。

 

つまらない事は気にしない!

グジグジ考えない!

先の事は心配しない!

いつも笑顔で元気!

 

すごい人である。

 

ボクの負のオーラは、

ロウソクの火のように一瞬で吹き飛ばされる。

 

数年前、一度、本当に苦しくなった時期があった。

休職と復職を繰り返し、

心身共に擦り減り、

疲れ切っていた。

 

この先どうなってしまうのか。

自分に家族を養っていくことは出来るのか。

 

不安と恐怖に押しつぶされていた。

 

そして、

暗い部屋でひとり膝を抱えながら、

ボクはシクシクと泣いていた。

 

それに気づいたツマは、

ボクにそっと寄り添い、

ポロポロと涙を流しながら、

優しく声をかけてくれた。

 

「シゴトになんて行けなくていい。

あなたは私の夫という一番大切なシゴトを、

立派に果たしているじゃない。

私、今、十分にしあわせだよ。」

 

もう泣けて泣けて仕方なかった。

 

声をあげてわんわん泣いた。

2人でわんわん泣いた。

 

ボクはあの日のツマの言葉とぬくもりを、

生涯忘れることはないだろう。

 

あの日、ボクは、

自分にとって最も大切な「シゴト」を、

見出した。

 

今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。

 

と言いつつも、毎日凹んでいるボクです。

 

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