ツマとムスメとウツボク

いきるってたいへん。でも、すばらしい。

「泳ぐのを止めた日」とボク

なんか、前にもこんなようなことを書いた気がするし、

いつも同じようなテイストですんません。

 

いつも、「その日の気分」で書いております。

読んでくれているみなさん、あらためて、ありがとう。

 

唐突ですが、

あなたには「目標」がありますか?

それに向かって、日々、進んでいますか?

 

「目標設定」が大切だと教わってきた。

学校でも、部活でも、仕事でも、どこでも言われ続けてきたことだ。

 

頭の中に刷り込まれているし、

やはり、どう考えても大切だと思う。

 

「目標がない?じゃあ、何のために生きてんだ?」

 

とまでは、流石に言われないけれど、

「目標は持つべき」という風潮はとても強い。

 

「まだ見つからない」そうして苦しんでいる若者も多いと思う。

(自分も十分に若者だが…)

 

これには、それぞれの考えや意見があると思う。

 

大前提として、ボクは「目標に向かって進んでいる人」を、

心から尊敬しているし、出来るなら自分もそうなりたいとも思う。

 

その大前提の上で、誤解を恐れずに言えば、

「ボクには目標がない」

ないのです。

 

一生懸命探した時期もあったし、

目標を見つけて突き進んだ時期もあった。

 

そんな経験を経て、今、辿り着いた答え。

それが、「目標を持たない」ということ。

 

異論、反論、あるでしょう。

ただ、ボクは「目標を持っている人」を否定しているワケではなくて、

自分が「持たない」と言っているだけでございます。

 

いや、もしかしたら「持てない」のかもしれない。

まあ、どっちでもいいんです。

 

そうなったのには、理由があります。

長引く体調不良は大きな理由のひとつだろうな。

 

「ヨーイ、ドン!」

 

で、ボクらは一斉に泳ぎ始めた。

「同じゴール」を目指してひたすら泳ぐ。

 

最初はみんな、だいたいおんなじスピードだ。

でも、時間が経つにつれて、それぞれに差が出てくる。

 

その「差」は、いろいろ。

 

ガンガンスピードを上げて、

あっと言う間に見えなくなってしまう人がいれば、

 

ゆっくり泳ぐようになる人もいる。

泳ぎ方を変える人だっている。

 

中には、「実はゴールはひとつじゃない」ことに、

気付く人も出てくる。

 

レースがすすめばすすむほど、

それぞれの「進み方」に多様性が出てくる。

 

いろんなスイマーが出てくるわけだ。

こうなってくると、レースはおもしろい。

 

ゴールはいろんな場所にあるし、

何をもって「一等賞」というのかもよくわからない。

それぞれが、それぞれで考えながら「自分のレース」を見つけていく。

 

ボクは、そんな中、途中で泳ぐ気力と体力がなくなっていった。

でも、「ゴール」に向かって、出来る限り足と手を動かした。

 

そうするべきだと思ったし、

少しでも進んでいないと不安だった。

 

だから、がむしゃらに泳いだ。

 

でも、そんなのは長く続かない。

いくら泳いでも前に進んでいないのが分かる。

 

身体も、心も、もう悲鳴をあげていた。

 

そして、ボクはついに「泳ぐこと」をあきらめた。

 

真横を、他のスイマー達が通り過ぎていく。

ひとり、またひとり。

 

ボクは、仰向けになった。

そして、水面にしばらく浮いていた。

 

久しぶりに「空」を見た。

こんなにも、蒼くて、広くて、澄んでいる。

 

あまりに空が綺麗で、涙が出た。

 

ボクは、空を眺めながら、

しばらく大海にプカプカと浮いていた。

 

「自分にとって本当に大切なものって?」

 

浮いているうちに、気が付くと10年が経っていた。

自分が今、どの辺をさまよっているのか分からない。

ただ、波に身を任せてきた。

 

そして、今もまだ、引き続き浮いている。

プカプカと浮いている。

 

不安にならないと言えば嘘になるが、

波がボクを「必要な場所に、必要な時に」連れて行ってくれる、

そう信じながら、今日もプカプカと浮かんでいる。

 

他力本願で、人生をあきらめたように聞こえるかもしれないが、

ちょっと違う。強がるわけじゃないけれど。

 

「泳がない」という選択を自分で下し、

「波」と「自分」を、本気で信じることにしたのだ。

 

空は、毎日いろんな表情を見せる。

 

綺麗に晴れわたっている日もあれば、

どんより雲の日もある。

 

雨がざあざあ降ってくれば、

仰向けのボクの目と口と鼻にはいっぱい雨が入る。

 

そんな、いろんな日を「味わいながら」浮いている。

 

「目標を持って進むこと」はとても素晴らしい。

これは、もうまったく議論の余地なし。

 

さりとて、「目標を持たないこと」が「素晴らしくない」ワケでもない。

自分を弁護するわけではないけどね。

 

色んな人がいて、色んな人生があって、色んな生き方がある。

「目標を持たない生き方」があったっていい。

 

空を見ながら、海を漂うのも悪くない。

カモメのフンには注意だけど。

 

泳いだっていい。

泳がなくたっていい。

どんな生き方だっていい。

 

迷っている人、苦しんでいる人が、

どうか「自分らしく」生きていけますように。

 

今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。

 

 そろそろ、「浮き輪」がほしいな。

 

およげないさかな (せなけいこのえ・ほ・ん)

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