ツマとムスメとウツボク

いきるってたいへん。でも、すばらしい。

「冬のベランダで」とボク

数日前、グッと冷え込んだ日があった。

 

基本的に、家ではTシャツにパーカーを羽織っているが、

その日はさすがにフリースを着用。

 

相変わらず、布団に潜り込んで、スマホや携帯ゲーム機をいじる。

昨年、下半期からの日常だ。

 

その日、いくらか調子が良かったので、洗濯をした。

まあ、もちろん洗濯するのは洗濯機なのですが。

干すのがね、面倒なわけです。

 

もともと、「茶わん洗い」「洗濯(干し)」「洗濯(たたみ)」「掃除」

この4つが、ほぼ苦にならないという「家事ハイスペック夫」が売りだったのに、

もう、体調不良によってほとんど封印されている。

 

わずかにあったプライドも、風前の灯火。

ムスメの鼻息で消えてしまうだろう。

 

たまに茶わん洗いをしていると、

 

「あなたって、いい夫ね!」

 

とツマから褒められ、

 

「それ、茶わん洗ってる時しか言わないよね。」

 

と、可愛くない憎まれ口をボクがたたくのが恒例である。

 

本当は、当たり前にいろいろな家事をやりたい。

カッコつけているのではなく、純粋に好きなのだ、料理以外の家事が。

 

さておき。

 

その寒い日の夜、洗濯物を干し終えて、ベランダの窓を開けた。

 

冬独特の、夜風。

これがボクは何故だか好きである。

 

あまり外の空気を吸っていなかったのもあり、余計に新鮮に感じた。

と、同時にツーンとした刺すような寒さにも襲われた。

 

「おー、さむいさむい。」

 

身体を縮こませながら、足早に温かい部屋に戻ろうとした。

でも、ちょっとだけ「夜空をみたいな」と思ったので、

少しだけ外の空気を吸うことにした。

 

冬の空は、とても澄んでいる。

それもまた好きだ。

 

空を見上げながら、自分の体調のこと、今後の生活のこと、家族のこと、

少しの間、考えていた。

 

考えながら、締め付けられるような寒さを感じていた時、ふと思った。

「この寒空の下で、こごえている人もいるんだよな。」

 

何故だかわからないが、そう思った。

 

当然だが、自分が悩みや問題に直面すると、もうそれしか見えなくなってしまう。

「世界で自分が一番不幸だ」という思い込みも出てきたり。

 

でも、その時ボクは思った。

 

猫のように丸まってばかりだが、それを温めてくれる布団があって、

さらにそれを温めてくれる家があって。

 

そして、ボクを芯から温めてくれるツマがいてくれて。

ムスメとコムスメがいてくれて。

 

他に何を望むのだろうか。

 

悩みや問題に視界を曇らされ、本来、恵まれていることが見えなくなる。

これが、ボクは本当に多い。

 

もっとも、そんなことも考えられないくらいから、

「つらい」のだけれども。

 

でも、数日前の冬空の下、ボクは久しぶりに感じた。

肌で寒さを感じ、同じ寒さを感じている人を想った。

ほんの一瞬だったけれど。

 

悩みや問題がない人生はない。

みんな、そうやって泥臭く生きている。

 

がんばれ、がんばる。

 

今日も、ウツボクに来てくれてありがとうございます。

 

自分以外の家族全員が風邪をひいてしまい、健康な人が我が家から消えた。

夜は、待っている。 (Hobonichi books)

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  • 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所
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