そもそも、ブログを始めたきっかけは、
ツマとの共通の友人からのアドバイスだった。
最初に動き出したのはツマ。
家事に育児に忙しい中、隙間時間をぬって、ブログの勉強を始めた。
『本気で稼げるアフィリエイトブログ』
みたいな参考書も買って、ノートを取りながらコツコツと進めていた。
ボクは、ツマがここまで本気だと思わなかったので、少々驚いたが、
自分がやるにしては、あまりに面倒くさいので、黙って見守っていた。
しかし、よくよく、ツマのブログモチベーションに耳を傾けてみると、
最終的には「なるほど…」と納得させられた。
「結婚して5年、私たちなりに色々経験してきた。
きっと、私たちと同じような境遇の人たちって、少なくないと思う。
微力だけど、私の経験が誰かのためになるならば、
私は「うつの夫をもつ妻」として、何かメッセージを発信してみたい。
あなたは、文章を書くのが好きだし得意だから、合っていると思うし。
当事者である夫、その妻、両方の側面を紹介したら、きっとおもしろいものが出来る。
もちろん、それで少しでも収益が出るならば、本当にありがたいしね。」
みたいなことを、たしか言っていた。
で、気づいたら、凝り性のボクの方が、どっぷりブログにはまっているわけである。
でも、とてもいい動機だなと思ったし、おもしろそうだと思った。
ボクらのブログを読んだところで、何がどう変わるわけではないが、
「こういう夫婦もいるんだ」と思ってもらえるだけでも、
なんか、いいような気がした。
もちろん、自分の病気をオープンにするのは多少抵抗があったし、
オープンにすればいい、というものでもないと考えている。
でも、「うつ病」や「精神疾患」はどうしても暗いイメージがある。
他の病気と変わらないのに、オープンにするのに躊躇するのは何故か。
それは、まだまだ「精神が弱い」とか「甘えてる」というイメージが、
払拭しきれていないからかもしれない。
でも、10年前よりも、世間の目や理解は大分変わってきたように思う。
それは、体調を崩す人が年々増えてきているのも影響しているだろう。
いつ、誰が、かかってもおかしくない病気になってしまった。
そんな今の世の中に、自分なりの、小さな小さな「一石」を投じてみようと思った。
「投げる」というよりも、小銭をお賽銭箱に納めるようなイメージ。
こうして、ツマとボクの意思が固まり、ゆっくりと2人で動き始めた。
といっても、まだ1か月だけれども。
前段が長くなったが、
ブログを始めるにあたり、まずタイトルを考えた。
ボクは、こういうのはいつも、「なんとなく」だ。
かっこよく言えば「インスピレーション」である。
さっさとこのタイトルに決めて、黙々と書き始めた。
ツマはというと、発信したいことが多岐に渡るので、
どんなタイトルにすべきか悩んでいた。
ボクは、自分のインスピレーションが赴くままに、
『ウツの夫に恋してる』
がいいじゃん?キャッチーで、目を引くし。
と伝えた。
ツマは、「うーん」と考えていたが、
「うん、いいかも!」と言って、あっさり採用された。
で、出来上がったツマのブログのタイトルを見たら、
『ウツの夫に恋してる?!』
になっていた。
「?!」ついてるけど。
素直に「恋してる」と言い切れ。
ツマのささやかな抵抗を感じた瞬間だった。
昨夜、ツマのブログが、ちゃんと検索エンジンに入っているか気になり、
ひとりで調べていた。
「ウツの夫…」と検索ボックスに打ち込んだら、こんな映像が飛び込んできた。
恋してる妻なんていなかった。
検索エンジンは、世相を表しているだろう。
シビアな現実を目の当たりにした。
いや、世の中には、そんな旦那さんを献身的に支えておられる奥様方も、
もちろん、たくさんいらっしゃるに違いない。
だが、検索エンジンは嘘をつかない。
多くの人が、インターネットに答えを求め、
悩みをぶつけているのは事実だ。
改めて、自分は恵まれた環境の中で、また、恵まれた伴侶と、
生活させてもらっているのだと、しみじみ感謝した。
ツマは、ボクが病気と分かっていながら、一緒になってくれた。
それはそれは、男前な覚悟と、深い深い愛情だ。
ボクは想像がつかない。
しかし、そうではなく、
結婚してから旦那さんが体調を崩すケース。
むしろ、そっちの方が多いだろう。
それはそれで、本当に大変だろうと思う。
ある日を境に、ガタガタと生活が崩れ始めるのだ。
旦那さん本人の苦しみと焦り、
奥さんの疲労と葛藤、
もちろん、これは精神疾患に限ったことではないが、
夫婦にとって、大きな大きなチャレンジである。
あの検索履歴から、なんとなくそんな事を感じ取った。
自分と、また、自分たち夫婦と同じような境遇にある人たちの、
日々の平穏と、静かなる幸せを願ってやまない。
いつの日か、検索履歴に、
「うつの夫 支えたい」
「うつの夫 受け入れたい」
「うつの夫 絆が深まった」
「うつの夫 むしろ可愛い」
「うつの夫 それでも愛してる」
みたいな言葉が並ぶ日を夢見つつ、今晩もキーボードをそっと叩く。
今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。
試しに、「夫…」で検索してみたら、
現実は厳しい。
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