ツマとムスメとウツボク

いきるってたいへん。でも、すばらしい。

「妬みという呪縛」とボク

100均にDVDが売っているのに気づいたのは数年前。

「おぉっ!」ってなったけど、よく見ると古めかしい作品ばかり。

 

でもすごいよな、100円で買えるんだぜ。DVDをよ。

と思ったのを覚えている。

 

話はガラリと変わり、

 

ムスメは数か月前から、ディズニーの「プリンセス」にハマっている。

やはり女の子だ。

 

プリンセスの映画を観始めると、いてもたってもいられないようで、

ワンピースやふりふり系の服を着たがるので、ちょっとめんどくさい。

 

「プリンセス」と言っても、まあ本当に色んなお姫様たちがいるもので。

撮りだめしておいたものの中から観たり、お友達にDVDを貸りたり。

 

いろいろカジった結果、「あたしもじぶんのDVDほしい」という結論に。

そこで、前述した「100円DVD」にプリンセスを求め、ツマとムスメは家を出た。

 

帰宅すると、ゲットした3種類の「100円DVD」を見せてくれた。

『不思議の国のアリス』

『シンデレラ』

『白雪姫』

というラインナップ。

 

すべてディズニーだ。

これで300円とはなんと良心的な。

 

『不思議の国のアリス』は、内容がよくわからなかったようだ。

ずっと「ぷりんせすは?ぷりんせすは?」と聞いていた。

その都度、「アリスだよ」と伝えても納得いかない様子。

まあ実のところ、ボクも途中で寝てしまった。

 

『白雪姫』は、けっこう楽しそうに観ていた。

むしろ、白雪姫よりも「七人のこびと」に心を奪われていた。

しばらく「ハイホーハイホー」うるさかった。

 

そう、ムスメがドハマりしたのが『シンデレラ』だったのだ。

確かに、「いかにもプリンセス」である。

 

毎日とまではいかないが、一日おきくらいに『シンデレラ』にくぎ付け。

こんな真剣な眼差しは見たことがない。

 

そんな『シンデレラ』を、今日はムスメとコムスメと3人で観た。

午前中、お留守番を仰せつかったのだ。

 

今まで、ムスメが観ていたのをなんとなく眺めていたが、

最初から最後までしっかりと観たのは、今日が初めてだった。

 

あまりに有名なおはなしなので、もちろん内容は知っていたが、

自分が男兄弟だったのもあり、映像では観たことがなかった。

 

感想としては、おもしろかった。

ふつうに楽しめた。

 

ツマに言わせると、「本家よりも吹替えが安っぽい」らしいが、

まあ、100円ゆえのご愛敬であろう。

 

以下、一部ネタバレになりますが、おそらく怒る人はいないと思うので、

無視して書き続けます。

 

『シンデレラ』を観て何を想ったか。

それは、「やはり『妬み』は厄介だ」ということだった。

 

まず、このシンデレラの境遇がもう本当に不憫でならない。

もともと、善良な両親とお城で幸せに暮らしていたいたが、早くに母が他界。

 

しばらく父と2人で生活を送っていたが、

父はシンデレラのためには母親が必要だと感じ、「トレメイン」という女性と再婚。

これが悪夢の始まりだった。

 

なんと、ほどなくして、最愛の父もシンデレラを残して病気で他界してしまう。

シンデレラにとっては悲しみの極みだ。

この時点で、常人には耐えられない。

 

そして極めつけ。

このトレメイン、実は性根が腐っていた。

シンデレラの善良な父よ、なぜ見抜けなかった。

もういかにも「わたし悪いこと考えてます」って顔してるのに。

 

トレメインには、女の子の連れ子が2人いた。

「ドリゼラ」と「アナスタシア」だ。

もう見事にトレメインの血を引いて、性格の悪い娘に育てあがっている。

 

父亡き後、シンデレラの継母であるトレメイン親子の天下である。

シンデレラは、召使いとしてボロボロにこき使われる。

こんな悲惨な人生ありえないだろう。

 

トレメインの性根の腐敗具合は、はっきりとは分からないが、

劇中で「シンデレラの美貌を妬んでいた」とあった。

 

そう、シンデレラが可愛い子ちゃんだったから、妬んでいじめたのだ。

変な話、シンデレラがお世辞にも可愛いとはいえない顔をしていたら、

もしかしたら、穏便に過ごしていたのかもしれない。

 

ご存知の通り、最終的にシンデレラはイケメンな「チャーミング王子」と結ばれ、

ハッピーエンドとなるのが救いなのだが、

それよりも、「トレメインの妬み」が気になってしまった。

 

忙しくこき使われる合間に作った舞踏会に行く為の健気なドレスを、

ドリゼラとアナスタシアにビリビリに引き裂かれた時は流石に号泣していたが、

それ以外は、シンデレラはボクの想像以上に凛としていた。

 

絵にかいたような理不尽な生活を強いられていたにも関わらず、

結構、あっけらかんとした部分もあり、自分の主張も何気にバシッと伝えていた。

 

シンデレラには夢と希望と野心があったのだ。

「いつか絶対に幸せになってやる…」

それが彼女の最大の強さだろう。

 

「妬まれる」人間の、お手本のような振る舞いだった。あっぱれ。

まあしかし、実際は、シンデレラのようにはいかないケースがほとんどだろう。

 

以前、「うらやましい」について記事を書いた。

www.tsuma-musume-boku.com

 

ボクは、基本的に「うらやましい」という気持ちは「悪」だと思わない。

自然にわいてくる気持ちだと思うから。

 

ただ、この「うらやましい」をこじらせると「ねたみ」に変わる。

この「ねたみ」が、なかなかに厄介な「気持ち」なのだ。

 

人の悩みの大部分は「人間関係」だと言われているが、

その人間関係をややこしくしてる要因のひとつが、これだろう。

 

誰しも一度は、人を妬んだことはあるのではないか。

妬まれたこともあるかもしれない。

 

ボクも、経験がある。

 

妬まれることに関しては、これはもうどうしようもない。

ましてや、シンデレラのように「美貌」を妬まれようものなら余計に。

 

「いやいや、お母様もとってもお綺麗ですわ」

なんて言っても、嫌味だと捉えられ、トレメインの妬みを逆撫でするだけだ。

 

「妬まれて苦しんでいる人」は、実はたくさんいると思う。

 

ツマも一時期、仕事でそのような経験をし、参ってしまったことがある。

もうどうしようもないのだ。

 

ツマは結局、耐えて耐えて耐えて、最終的に環境を変えた。

それしか選択肢が残されていなかった。

 

しかし、ツマの話を聞いていると、妬んでいる人も何だか不憫に思えた。

おそらく、妬みたくて妬んでいるのではないだろう。

 

「ねたみ」は「うらやましい」の延長線上にある。

だから、もしかしたら「自然な気持ち」なのかもしれない。

 

ツマが職場を去る日、

その人は涙を流しながら「ごめんね…」と、ツマと抱擁を交わしたそうだ。

 

もちろん、ツマが一番つらかっただろう。

が、その人も、つらかったのだ。たぶん。

 

ダラダラと長く書いた割に、着地点が見つからないのだが、

「ねたみ」って難しいよね…。というボクのぼやきです。

どうもすみません。

 

トレメインを見ていてね、なんだか不憫に思えて。

ああ、妬んでんなって。

誰も幸せになんねえぞって。

 

ただ、妬むのもツライんだろうな、トレメイン。

分かる気がするよ…。

 

と、『シンデレラ』のよく分からない部分に感情移入してしまった話でした。

 

もし、これを読んでくれている人の中に、

妬んでしまって苦しい人、

妬まれていて苦しい人がいたら、

どうかそれらが和らぎますように。

 

という無責任な願いを込めて筆を置きます。

 

今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。

 

「ねたむ」のも「ねたまれる」のも、実は同じくらいツライのかもしれない。

 

シンデレラ (字幕版)

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