ジブリの『魔女の宅急便』
おそらく、ほとんどの人が観たことがあるであろう。
ボクも幼い頃、『となりのトトロ』と同じくらい、
テープが擦り切れるほど観た。大好きだ。
ツマは、ボクよりも「魔女宅愛」が強く、生涯視聴回数はボクを遥かに凌ぐだろう。
そして、実はムスメも『魔女の宅急便』が大好きになった。
もう、しょっちゅう家で、録画したものを繰り返し観ている。
両親と同じ道を辿るのね。
ほうきが家にないので、「はたき」にまたがり、
家の中を自由に飛び回っている。
やはり、名作は時代を選ばないのだろう。
この歳になって、改めて観る『魔女の宅急便』は、また格別だ。
ある日、朝ご飯を食べながら、『魔女の宅急便』の話題になった。
するとムスメが、
「ききのまま、あたまにぶどうついてるのよ」
と言い出した。
えっ、そうなの?
いやいや、ついてないやろ。
そもそも、キキの母が出てくるシーンは、冒頭の数分のみだ。
正直、あまり印象がない。
実際の映像を確認してみることに。
ついてた。
ちょっと大きすぎるけどね。
厳密には、おそらくブドウではないが、ムスメの言わんとすることは分かる。
このシーン、どちらかと言うと、フラスコに目がいくだろう。
薬を調合しているのだから。
何十回と、この名作を観てきたツマとボクだったが、気づくわけもなく。
ムスメの偏った観察眼に驚嘆した。
その背景には、ムスメの異常なまでの「果物愛」がある。
もう本当に、果物が大好きなのだ。
ツマ「もう秋だねえ」
ムスメ「かきたべれる!?」
ツマ「もう冬だねえ」
ムスメ「いちごたべれる!?」
季節を果物で感じる2歳児。
なので、この「キキ母、髪にブドウくっついている疑惑」は、
我々夫婦にとっては、頷けるものだったし、
改めてムスメの「果物愛」の深さを知った。
彼女には、おそらくすべての物事が、果物中心に見えているのだろう。
髪にブドウをくっつけたキキの母の映像を見つめながら、ふと思った。
そう、人それぞれ、物事の「見え方」はいろいろなのだ。
おそらく、前述のキキの母のシーンの背景担当の製作者は、
ムスメの気づきに喜んでくれるかもしれない。
もしかしたら、
奥に見える引き出しのようなものに着眼する人もいるかもしれないし、
キキ母の髪型やピアスに着眼する人もいるかもしれない。
人それぞれ、違った「着眼点」を持っている。
それって、おもしろいことではないか、とっても。
ひとつの絵を、いろんな面から解釈できる。
想像力がかきたてられ、とたんに奥深いものとなるのだ。
でも、ほとんどの人は、そんな細部には気づかない。
ボクたち夫婦がそうであったように。
「え、ブドウ?なんでそんなとこ見てんの!?おかしいやろ~。」
と思ったが、
いやいや、そんなことはない。
ムスメは、わずか数秒の間にフレームから「ブドウ」を見出した。
年齢が上がると、自然と「集団」の中に入っていくことになる。
日本では特に「和」を重んじる文化が根強い。
それは非常に大切で、尊い文化だが、
いきすぎたり、少し屈折すると「個」が活きにくくなってしまう側面がある。
それは、大人になれば、もっと色濃くなってくるかもしれない。
99人が、キキの母のフラスコを見ている中で、
ブドウを見ている、たった1人。
「それはおかしいよ、ここはフラスコを見るシーンだよ。」
と言うか、
「ほんとだ!たしかにブドウも見えるね!よく気づいたね!」
と言うか。
周りのおとなの反応次第だ。
ボクは自分の口から、後者のような言葉が出ることを願っている。
そして、自分自身も、自分の「個性」を大切にしてあげたい。
もしこの先、ツマやムスメやコムスメが、
外で、個性を否定されるような悲しい思いをして家に帰って来たら、
「いいんだよ、ブドウが見えても。よく気づいたね。」
と、声をかけられる自分でいたい。
家庭がそんな場所になることを、心から願っている。
見え方も、いろいろ。
生き方も、いろいろ。
今日も、「ウツボク」に来てくれてありがとうございます。
キキがさ、かわいいんだわ。ほんと…。

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